シニアのための自分史講座

第七課 構成と校正

全体の組み立て

 一応、全体の文章ができました。書き方はいろいろあっていいのですが、ここで再度、どういう順番で組み立てるか、構成をします。


 特に正攻法という図式はありませんが、「文章は三行、読んだら面白いかどうかわかる」といわれます。おもしろいかどうか、読み始めてすぐ判断できるといわれています。このことを念頭に置くと、書き出し=出だしはとても大切だということがわかります。


 時系列で書いてあっても出だしにする内容は、読者が「あっ」と思えるような文章を用意したいところです。

 

起承転結の妙

 かつて学校でも学んだことですが、ここでも学習しておきましょう。


 ここまでは自分史の体験者、経験者の随想、小説を紹介してきました。


 では、もっと具体的に自分が作文や小説、自分史などを書くにはどうするか。わたしが勤める、東銀座出版社のHPに書いているものを転載します。


 少し実例を上げて文章の構成を考えてみましょう。


 以下のエッセイはわたしの作です。この短文を例に、文章をどう組み立て起承転結を考えたらいいのか参考にしてください。

 

「雲雀とギャンブル」

「ね、利口だろう。雲雀はけして巣の近くに舞い降りないんだよ。子どもに危害がないように、空から降りてくるときは遠くに着地して巣にもどるんだって……。ましてや人の子はもっとかわいいんだから、親は自分が食べなくても子どもを育てるんだよ」


 少年時代、貧しくてコッペパンしか食べられず、だだをこねていたときに母親からいわれた思い出話。


 その雲雀を早朝の散歩で毎日、聴いている。点のように小さく天空に舞い、鳴き声は幕張の茜浜と習志野市営霊園にさえずっている。ピレィピリィ、ピィピィピーと聴こえる声は何と叫んでいるかわからないが、澄んだ空気とともに一日の気合にもなる。


 ところが突然、この近くにボートピア(場外舟券売り場)建設の話が持ちあがった。新習志野駅前の、国際水泳場と千葉工業大学の横にである。


「年間三億円の還元が見込める」(実際は地方公営ギャンブルが赤字傾向)と市長は許可したが、工大学長の抗議声明、地元の学校PTAの反対、地元住民の裁判提訴にあっている。


 雲雀だって、三六〇日開催されるギャンブラーに居たたまれないだろう。きっとピレィピリィ、ピィピィピー「うるさくて子育てできないよ」と叫ぶかもしれない。

 

 文章、特に短いエッセイなどでは、起承転結の妙味がとてもはっきり出せます。意識して構想し、逆算して書くと上達すると思います。ここに載せた「雲雀とギャンブル」は、わたしのエッセイですが、これを参考に解説してみます。

 

 何がいいたかったのかが問題です。自宅近くにできる、ギャンブル場建設に反対したかったのが主張、主題です。これが「結」です。


 けして(例外的に、わざと「結」から始めるときもありますが)、「結」から書き始めません。例外的に「結」から始めると、意外性で読者に驚きを与えます。しかし、わたしは悪くまで例外にしか使いません。


「起」は雲雀を思いつきました。ギャンブル場の近くを散歩すると、春先から天高く雲雀が毎朝、鳴いています。東京湾の海辺です。  


 かつて誰かに聞いたことのある、雲雀の巣づくりを思い出し、母親のことばにしました。母親の思い出を「起」に、雲雀は「承」にしました。


「起」のことばを「誰か」ではおもしろくないので、母親にしました。フィクションです。

 一番、難しいのは「転」かもしれません。ここで、どんでん返しをしなければ、文章の魅力、おもしろさは半減してしまいます。読者に予想もさせない「転」をいつも考えてください。


 そして、最後に主張したかった内容を「結」に結びます。


「雲雀とギャンブル」の「起」から始まって、「結」に到る工夫が計算されていませんか。試しに、起承転結を反転して読んでみてください。きっと、おもしろさが半減すると思います。

 

校正はくりかえす

 構成が決まったら次の作業として校正をします。


(ア)入稿して元原稿から大きく変更する朱入れ・赤字入れは、校正という範囲を越えています。それまでに校正、推敲を徹底します。

 入稿後の訂正は誤字脱字、事実確認程度にします。習慣をつけることで改善できます。読みづらいことはもとより略字、旧字、促音などにも注意しましょう。


(イ)改行した次の行は一字あけます。物語や場面の転換箇所で基本的に改行することはすでに書きました。


(ウ)指定の字を直し、訂正するときは字の上に×印を赤で入れ、引き出して大きく訂正字を欄外に書きます。その字を消したいときは同じ方法でトルと赤で記します。

 挿入するときは字間、行間に線を引き出し、赤字を書きます。入力者、印刷者がわかるようにハッキリ、大きく欄外に示すことが大切です。赤字入れとか朱入れといいます。


(エ)敬称などの整理も注意しましょう。特に固有名詞のまちがいは、他と誤解されたり失礼になりますので致命的になりかねません。個人名、地名、数字などは何度も元原稿と照らして確認します。ときには元原稿がまちがっていることもあり、こうした発見も経験を重ねるとわかってきます。


(オ)パソコンなどで入力したら、必ず読み返してみます。少なくとも二回は見直したいもの。手書き原稿も同じ。作品を振りかえってみることと、校正は習慣化しましょう。

 長文の校正は一気にやった方がいいようです。日数をかけて校正すると統一性が悪くなります。


(カ)会話文は文章の息づかいのようなものですから、会話をうまく使う人は優れています。積極的に活用します。できれば方言や口語などもうまく登場させたいものです。 会話は独立して改行します。


 書店や図書館などにも校正の本が出ていますから、一度は読んでおきましょう。

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