シニアのための自分史講座

第五課 やさしい文章とは

わかりやすさこそ大切 

 わかりづらく読みづらい作品があります。その原因の一つに句読点の使い方があります。


 主語のあと助詞の「は」や「が」の次に読点の「、」をよく打ちますが、必ずしもいいわけではありません。むしろ、ひと息つける場所に打った方がよい場合があります。

 漢字が続くとき、かながつながるとき、前後の言葉を分けた方がわかりやすいときにも読点を打ちます。


 
「昨夜雨が降った」は「昨夜、雨が降った」。「あにいもうとは仲がいい」は「あに、いもうとは仲がいい」。「毎日新聞を読む」と「毎日、新聞を読む」では意味すらちがってしまいます。


 やたらに多い読点は流れが悪いし、長い文節になると意味が通じにくくなります。新聞などで気をつけて読む習慣をつけます。


 以下は新聞に載った長文の例です。

 

 森本敏防衛相は5日の閣議後記者会見で、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの普天間基地(沖縄県宜野湾市)への配置計画について「報道されているように、どこかに例えば陸揚げをして、そこから飛び立つなどというようなことが本当によろしいのかどうかも含めて今検討しているところだ」と述べ、那覇軍港に陸揚げし、そこから普天間基地まで飛行させる方法を含め検討していることを明らかにしました。

 

名文と迷文

 自分の書いた文章をできるだけ読者にスムースに伝えたいものですが、そのための心得。


 一センテンスの間隔を短くすることを心がけましょう(読売カルチャーセンター・葉山教室より)。

 ジャーナリストの本多勝一氏は、たくさんの文章教則本を出版していますので参考にしてください。


「Aは(主語)合格した(述語)。」のように、短い記述はわかりやすいのです。Aを修飾する表現がある場合でも、主語と述語の間隔は短い方がいいのです。


「小さいときから利発とうたわれた、頭のいいAは合格した。」と「Aは小さいときから頭がよく利発とうたわれたが、合格した。」を比べてみてください。


 形容や修飾などが長いとき、主語が何をどうしたのか不明になりやすいのです。ですから主語であるAをできるだけ後ろ、「合格した」という述語に近いところへ置きます。


 一センテンスは一〇〇字以内、できれば六〇字前後、二〇字原稿用紙で三~四行程度でまとめたいところです。


 日本で一番、売上げを伸ばしている生命保険のホームページは、三〇字以内の宣伝文を守っているそうです。


 もちろん、文章表現は一様ではないですから決まりごとではありません。野坂昭如、三島由紀夫氏の文体などはまったく個性的です。


 しかし、基本をまず知ることが大切です。読んでみてスムースに頭へはいってくるか、わかりやすく流れるようなリズムになっているか確認しましょう。

 

コツは詳しく書く

 この項ではどうしたら自分の考えていることがよく読者に伝わり、なおかつ内容が深まるのかを研究します。


 その一つは、できるだけ詳しく書き込むことです。

 特に力を入れたい場面は、できるだけ詳しく書き込みます。当時の服装、生活風景、周囲の様子。さらに人の表情、話し方、しぐさまで、ていねいに書き込みます。


 登場者や第三者の時・時間や場所をいつもはっきりさせることもポイントです。   

 さらに自分以外の登場者は誰か、誰が話しているのか。何時なのか、場所はどこなのか。


 この時と場所をいつも明確にし、誰が行動したのか、誰がいったのかをはっきりさせないと、文章が混乱します。主語をいつもはっきりさせることです。


 一方、自分史や私小説などでは、「わたし」を必要以上に出さない方がいいと思います。  

「わたし」という言葉を削っても通じるときは省きます。読む人は、「わたし」が誰かわかっているからです。しかし、前述しましたが、主語が誰なのかわからない場合は、「わたし」も必要です。


 概念や形容詞で表現しないことに注意しましょう。
「とてもよかった」とは、何がよかったのか書かれていません。「すごく美しい」では、どんな色や景色や形がきれいだったのかわからないのです。可能なかぎり描写をていねいに書きます。香り、気候、味など五感を表現するときもていねいに書きます。


 写真、イラスト、図、資料なども一つの物語ですから積極的に活用しましょう。

 

禁じ手

 作文や自分史で禁句といわれるものは、「自慢話」と「他人の悪口」です。
 これは自信があること、貴重な経験や誇りや、あるいは他者への批評、批判とは別のものです。


 同じ内容でも、「自慢話」になってしまうのか、「誇り」として語れるのかは、客観性があるかどうかの違いです。自分の功績で、なぜ成果があったのか、どうして評価が高かったのかなど周囲の客観的な描写が必要です。


 悪口なのか批判なのかも同じことです。単に他人の弱点、悪口をいくら並べても読者は納得しません。弱点は何が原因なのか、悪口はどんな態度やことばなのか。そうした裏づけになる表現が書かれなければ、読み手は気分を悪くするだけで、けして作者に同調してくれません。
 
 夏目漱石は作品を書き上げると三年間、引き出しにしまい、さらに加筆、添削したといわれます。


 書いた本人は夢中です。三年とはいわないまでも、少し時間を置いて読み返すと、客観性や整合性があるか、ないか、自分にも見えてきます。


 くれぐれも「うまく書こう」「きれいにまとめよう」と考えないでください。大切なのは心からの叫びであり、抑えられない伝言であり、世界でたった一人の経験・体験を伝えることを大切にしてください。

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