東銀座出版社の自費出版

本を出す魅力

木の実の部屋

『木の実の部屋』著者 なたとしこさん

 

心地よい透き通った緊張

 出版を決意させたのは憲法第九条が揺らぎ始めた事からくる痛い程の危機感、戦争によって奪われた父への愛でした。

 本のかたちは誰でも気軽に手に取ってバッグの中にすっと入る大きさである事、作品数は10編程度、詩は無理なく真っ直ぐに詩い込む事。〈持っているだけで心に”点”がともっているような、そんな本ってあるよなあ、ああ、そんな本が作りたい〉でした。

 詩は殆ど目指すテーマにむけて新しく書いた物ばかりです。作品数は9編、そして詩と一体になった空間を作ろうとして、きり絵を考えました。本文の地肌は黒、字は白、詩の内容によっては萌黄色の字も使う。全体としてカラー。実はこの方法は何年か前に別のテーマで自分のためにたった一冊を手製で作った経験があります。それは今も大切に保管しているのですが、その時のイメージが詩集発行の決意と同時に脳裏に浮かんでいました。

 詩もきり絵も同じ比重で取り組み、憑かれたように毎晩遅くまで費やした数カ月は、これまでの生涯のどの詩集よりも楽しいものでした。きーんと張った、手を触れれば切れてしまいそうな透き通った緊張、それは心地よいものでした。

木の実の部屋

著者と出版社が力を集中

 出版はこれまでに二冊を出している東銀座出版社にお願いしました。

 字体をどれにするか、どの大きさにするかという事一つとってみても、それはそれは細かく何回も討議を重ねて下さり、担当者との意見交換の中で、特異な雰囲気をもった詩集の帯の文章の中に絵本詩集と入れる事、帯は表紙のきり絵が損なわれないように、透明な、材質としてはビニール系の物を使用することが決まった時には、これは出版社との共同作業の上ではじめて成り立った一冊なのだと実感しました。ひとつの像があって、それにむけて、そらさずに、著者と出版社が力を集中させて行った、と。

 出版のあと、熱い感想もいただきながら、『木の実の部屋』は、これまでのどの詩集よりもいとおしいものになっています。

 私はいま、力を出しきったあとのすがすがしさをしっかり抱きしめています。

東銀座出版社 電話03-6256-8918

〒171-0014

東京都豊島区池袋3-51-5-B101

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