わたしは40年余、出版関係に生きてきました。得意なものは単行本やミニコミ紙、雑誌などですが、アマチュアの方の作品も多くみてきました。分野では音楽、伝統文化から郷土史、地方芸能、小説、短歌、写真、美術などの芸術も好きです。なかでも自分史については長年、経験してきました。
自分の生きてきた証として、あるいは仕事の成果として活字に残すことは、人生そのものです。しかし、「文章は苦手」「作文は学校以来、書いたことがない」という人も多いのでしょう。
文章はうまく書く必要はないと思います。自分の言いたいことを素直に書くことが何より大切です。学校で国語の成績が良くない人でも作家になることは珍しくありません。大切なことは心を打つ文、感動する文を書くことでしょう。
では、感動するものとは何か? 自分が感動したこと、驚いたこと、他人には体験したことのないこと……。
文章を書く上で大切なことは、自分に驚き、自分を発見することではないでしょうか。具体的に示してみます。いい本に出会ったり、すばらしい映画を見たときに、わたしたちは心揺さぶられ感動します。どうしたら自分の書いたもの(自分の作品)が他人に感動を与えられるのか? わたしの経験からいくつかの場面を提示してみます。