「やさしい文章教室」執筆の手引き

〈感動することの大切さ〉

 少し文法上の解説がつづいたので、経験談を紹介します。


 瀬戸内海の漁獲変化を埋め立ての関係で、NHKが「里海を守れるか」という番組を放送していました。


 わたしが住んでいる東京湾最奥部の三番瀬は、海岸の90%余が埋立て地です。これは瀬戸内海よりも埋め立てが進んでいます。人が海に接することができるのは、ほんの一部、人工海岸くらい。たしかに埋立てによって、工場が建ち、住宅が増え、商店が栄えます。生活は豊かになりました。しかし、これでいいのでしょうか。


 随想や自分史に、こうした考えや生き方がどう反映したのか、東銀座出版社の『飯盛り大仏』という本を参考にしてみましょう。

 

 江戸時代、東京湾の三番瀬の海を守った漁師たちの実話です。


 東京湾最奥部の三番瀬を埋め立てるかどうかが長い間、討論されてきました。現在は白紙状態。それでも、第2湾岸道路や猫実川河口の人工海岸構想は根強くあります。人は海を埋め立てて、今度、人工の海岸を造るという「知恵」は、猿知恵より劣ると思います。


 三番瀬のある船橋市で一つの演劇を上演しました。八千代松陰高校演劇部の「飯盛り大仏」。三番瀬の幕府召し上げに反対し、獄死した漁師の実話の演劇化。原作は前記の本で、わたしが手がけた1冊。


 同高校の文化祭で上演されたものを見て、一般公開を要請。県下の自然保護団体や市民が実行委員会を結成、大成功でした。朝日、毎日、読売新聞などほとんどのマスコミが紹介しました。


 観劇者の半数近く集まったアンケートには、「高校生とは思えない迫力」「初めて三番瀬のことを知った」などと、関係者も驚く反響でした。会場では、すすり泣きや笑いや拍手がつづき、幕が下りてもなかなか拍手が鳴り止みませんでした。


 脚本化し、演劇指導した秋元先生は、「親と教師しか大人を知らない今の生徒たちが、こんなに自分たちの演劇に、知らない人たちが熱心に見てくれた。そういう大人の人がいることを知ったのが最大の収穫」と語っています。


 原作者の津賀俊六さんは、船橋市で鍼灸師を開業する人。ですから、文章に関しては素人です。彼が10年余をかけてなぜ書き上げられたのか。それこそ、書きたい、書かねばならないという、文章つくりの根本があったからでしょう。


 少し、文章教室とは離れた話のようですが、感動することとは、書きたい気持の表わし方の例として紹介しました。

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